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岸田文雄宏池会会長・ケネディ元米国大使、特別対談

2018/08/30


岸田文雄(以下、岸田) 本日は、オバマ大統領の残りの任期が1か月と迫る中、ケネディ大使と日米両国のこの4年間の協力を振り返りつつ、今後の日米関係を展望したいと思います。その上で、私が会長を務める宏池会の創始者である池田勇人元首相にかかることについて包括的にお話ししたいと思います。
まず、ここ数年は北朝鮮の核・ミサイル開発、中国による現行秩序への挑戦により、アジア太平洋地域における安全保障環境が一層厳しさを増し、日米同盟の真価が試された時期でした。同盟の実効性を高めるガイドラインの改訂が行われ、沖縄の負担軽減でも前進が見られ、更に、アジア太平洋地域に自由で公正な経済秩序を作る取組の推進が行われ、日米同盟の強化で多くの成果を達成することができました。加えて、日米韓や日米豪といった三国間協力の強化も含め、オバマ政権下において、日米同盟を基軸とする同盟のネットワークによる協力が地域に広がりつつあることは、平和と繁栄に貢献する日米関係の更なる発展につながるものであると感じています。

オバマ大統領の広島訪問 ―「希望の同盟」を象徴―

全体の動きの中で特に印象深かったのは、ケリー長官をはじめG7外相と共に平和記念公園で献花を行ったことやオバマ大統領に資料館に足を運んでいただき、原爆ドームを見ていただいたことです。どちらの出来事も、私自身が広島市民の一人として、また、被爆地出身の外務大臣として、世界の政治指導者に被爆地を訪問いただき被爆の実相に触れていただきたいという思いが実現した忘れられない行事でした。
また、オバマ大統領の広島訪問は、日米同盟が世界において大変重要な同盟であり、「希望の同盟」として大きな責任を担っていることを示す上で象徴的なものでもありました。その場に立ち会えたことを誇りに思います。これらの訪問について、ケネディ大使にご尽力いただき心から感謝申し上げます。こうした日米同盟の今日までのありようや、大使として活躍された3年間を振り返り、ご感想があればいただきたいと思います。

ケネディ大使(以下ケネディ) この極めて素晴らしい時期に米国の駐日大使として仕事ができたことは幸運であり、また光栄でありました。このような多くのことを達成できたのは、安倍総理や岸田外務大臣のおかげです。また、オバマ大統領がアジア太平洋地域への深いコミットメントや理解を有していたことも幸いでした。これは、大統領自身がアジア太平洋のハワイ州出身であることが寄与していたと思われます。また、オバマ大統領の最初と最後の外国首脳との会談が日本の首相だった事実が明確に大統領のコミットメントを示しています。一昨年のオバマ大統領の訪日後、昨年安倍総理が訪米され、米議会の上下両院合同会議で演説をされました。日米安保条約第5条の適用についてオバマ大統領から言及がなされたことは、日米同盟が最も強力なものであることを示しています。これらのすべての要素が結合したのが、オバマ大統領やケリー国務長官による広島訪問でした。広島宣言の発出が可能となったのは、岸田大臣ご自身が強く関与なさり、リーダーシップを発揮されたからです。
そして、このような日米間の協力的なパートナーシップの種は池田勇人元首相が蒔いたものです。池田元首相は日本が世界の舞台に関与する重要性を認識され、1964年オリンピック、新幹線導入、日本のOECD加盟等大きな節目の極めて重要なプロセスに着手されました。池田元首相の功績は、オバマ大統領の広島訪問、TPP協定の交渉完結につながり、2020年に日本がオリンピックの主催国となることを通じてこだまのように響いています。

55年前、
池田勇人元首相が蒔いた種を未来へ

岸田 昨年10月に広島の竹原で行われた池田勇人元首相没後50年記念式典にケネディ大使と共に出席しましたが、その際に申し上げたとおり、1961年のケネディ大統領と池田首相との間の日米首脳会談はその後の歴史に大きな影響を与えました。両者の自由や民主主義への強い思い、そして友情の絆が、その後の日米関係を推し進めました。そして、ケネディ大使が仰ったとおり、それが日米間の様々な重要な歴史に繋がっていったのです。
来年は宏池会創立60周年を迎えますが、仲間と共に祝い、未来に対する思いを新たにしたいと考えています。60年の歴史について、池田元首相とご縁の深かったジョン・F・ケネディ元大統領のご長女として、大使が日米関係に期待することがあればご意見を伺いたいと思います。

ケネディ 広島・竹原の池田勇人元首相没後50年記念式典に参加できたことは光栄でした。また、同時に元首相のご家族と話すことができたのは嬉しいことでした。池田元首相がホワイト・ハウスを訪れた際に、乾杯の挨拶において、太平洋は両国を分けるものでなく結ぶものと仰いましたが、宏池会はその精神を体現しています。もう一つ池田元首相が行った重要なことは、カルコン※の設立です。これは、その後60年間の日米間の文化・教育交流の促進を政府が主導し、今日の日米同盟の力強さにつながっています。池田元首相が未来へのビジョンを持っていたからだと思います。トビタテ、カケハシ、トモダチなど各種交流事業への岸田大臣のご支援に感謝したいと思います。私自身は、宏池会の歴史について詳しくは承知していませんが、日米同盟の力強さに代表されるこれまでの60年間の達成について宏池会の方々は満足されているのではないでしょうか。宏池会が今後の60年についても成功を収めることを心より願っております。

世界が日本のリーダーシップを期待

岸田 最後にお尋ねしますが、日本の政治が今後日米関係強化に向けてどう努力すべきかうかがいたいと思います。現在の安倍政権の前は、ほぼ毎年首相が代わり混沌としていましたが、安倍総理になり久しぶりに安定した政権が実現しました。来年、米国においては新しい政権が始動し、世界においても大きな選挙が沢山予定されています。来年は国際社会で変化がある年になると言われていますが、日本では幸い政権が安定しています。日本の政治に関し、大使から期待することがあれば教えていただきたいと思います。

ケネディ 来年は日本が世界でますます重要な役割を果たす1年となるでしょう。日本は、リーダーシップを発揮し、アジアや世界のカウンターパートとも対話を重ねてきましたが、他国は日本に対し、民主的な価値を維持する議論においてリーダーシップをとる役割を求めてくると思います。

岸田 改めて在任されていた3年間のお力添えに感謝します。大変心温まる言葉をいただき嬉しく思います。これから年末年始で大使もお忙しいでしょうが、お元気で。ケネディ大使が米国にお帰りになったとしても、日本をあたたかく見守っていていただけたらと思います。
ケネディ 日米同盟の重要性を主張していきたいと思います。岸田大臣には、改めて感謝申し上げます。

(平成28年12月)

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